三年継続の研究計画のなかで、21年度は中核の一年にあたり、本格的な調査と研究に邁進努力した結果、当初の予定以上の成果をあげることができ満足している。SWWの自筆書簡は、膨大な数量であったから、マイクロフィルムにするにも、エール大学図書館側の作業が、予想以上に長期にわたり、またフィルム化の経費も、初年度と今年度の二回分割となった。10巻のマイクロフィルム・リール制作費は、合計50万円近くになったが、今年度の夏に現地で10巻を手渡していただけた。 デジカメに既に入れてある資料が、これとは別にあったので、フィルム入手に先立つ期間に、もっぱらデジカメによる判読と活字化に専念した。判読と活字化の作業は、気の遠くなるような時間のかかる、忍耐の要する仕事であるけれど、歴史の現場に立ち会っているかのような、臨場感に押されながら、予定した目標達成に向けて、日々、もくもくと努力した。 (1)1853~54年の「日本遠征」書簡日記は、すべて判読活字化を終え、22年度中の現地調査の際に、原資料との付き合わせを待つだけの段階にある。(2)1858~1859年の「北京遠征」書簡日記の方も、判読と活字化を終えているので、原資料との付く合わせの機会を待つ段階になる。(3)1830年代初頭から1880年代前半までのウィリアムズ・コレクション所蔵の自筆書簡については、作業を二つに分けて、判読活字化を進めてきた。一つには、SWW自身の自筆書簡(out-letters)をほぼすべて活字化できた。SWW宛の書簡(in-letters)については、主要なものに当面限定して活字化しているが、とにかく様々な差出人の筆跡を正確に判読するには、余りに手間がかかりすぎるためである。 (4)今年度最大の成果は、北京外国語大学の張西平学長の指導を受けられたことにあり、2012年に企画されているSWW生誕200年記念の国際シンポジュームに参加できるようになったかばかりか、その折りに刊行予定のSWW著作集10巻のうち、自筆書簡の活字化テキスト三巻を担当することになった。
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