三年継続の研究計画のなかで、22年度は完成年度にあたり、最終的な調査と研究に専心努力した。その結果、三年前の研究スタート時点からすれば、予想外の大きな成果を生み出せた。 (1)最大の成果は、研究スタート時点に申し出のあったSWW子孫(Hungtonton Williams三世氏)による追加資料の寄贈が、21年度中に実現し、整理の終えたAccession資料をエール大学図書館で本年度夏に閲覧可能となった点である。貴重な新資料を早急に利用したいと考えた。図書館でのマイクロフィルム化作業にはあまりに長い時間を要することから、急遽の選択肢として院生(東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年次在学、宮澤文雄氏)に助力を求めた。研究の助手として現地に派遣し、約1000頁の資料をデジカメに収めてもらった。上記新資料だけでなく、マイクロフィルム化の出来ない破損した保存状態にある二冊の遠征記を同時に綿密なデジカメ写真を撮ってもらえた。これによって、下記に言及するように中国の出版社(大象)による出版企画のなかに遠征記の転写テキストを加えられるように、資料の準備に万全を期した。 (2)中国の若手研究者(特に浙江大学大学院歴史系博士課程後期2年次在学、田力氏)との研究協力関係を昨年につづき深めていき、特に作成できた転写テキストの点検をしてもらい、正確な読みに大きく貢献できたことも、本年度のもう一つの成果である。2012年度には、前記の出版社のほか、広西師範大学出版に於いても、全24巻の大掛かりなSWW英文資料の出版計画があり、それに向けた共同編集者としての具体的な協議を北京外国語大学のGu Jun(顧)博士と重ねた。これも予想外の貴重な成果となった。 (3)従来の小冊子による研究報告書の提出は、義務付けられていないものの、この三年間の研究論文・学会発表・著書のなかからの抜粋などを一本に整理しておきたい気持ちから、最終的な編集・校正・印刷・製本の作業を北京と杭州で完了した。
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