• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

ドイツ近代文学における庭園モチーフの研究

研究課題

研究課題/領域番号 20520280
研究機関新潟大学

研究代表者

桑原 聡  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10168346)

キーワード庭園 / アイヒェンドルフ / イギリス風景式庭園 / ゲオルゲ / ホーフマンスタール / シェアバルト
研究概要

平成21年度は、ドイツロマン派から19世紀末のホーフマンスタール、ゲオルゲ、20世紀初頭のP.シェアバルトに至る人工庭園の系譜を概観した。以下が昨年度得られた知見である。
ドイツロマン派の時代(ゲーテをも含む、18世紀末から19世紀前半)にはイギリス風景式庭園の爆発的な人気にもかかわらず、文学においては、たとえば、イギリス文学とは異なって、風景式庭園は好まれない。その理由は、イギリスでは現実の自然の発見の前に風景式庭園が導入されたのに対し、ドイツではそのような媒介なしで「人工」に対する対立概念として「自然」が発見されたからであろうと考えられる。(たとえばA.v.ハラーによるアルプスの自然美の発見。長編詩「アルプス」1729年を参照のこと。)
ドイツロマン派ではノヴァーリスを始めとし、整形式の人工庭園が「芸術」Kunst/artの象徴として好まれる。この系譜は、写実主義、自然主義の勃興とともに一旦は姿を消すが、19世紀末文学において、とりわけゲオルゲにおいてそのもっとも純粋な形で再帰する。(「地底の王国」『アルガバル』所収、1891年)
それに対して再び「自然」への回帰を祈願する声が上がる。ホーフマンスタール「私の庭」Mein Garten(1891年)である。この詩は恐らくゲオルゲの文学姿勢に対する拒否を表明したものである。こうして18世紀末Fr.シュレーゲルとシラーの間で議論された「自然」と「人工」の対立が再び顕在化する。
この対立に対してP.シェアバルトは、新プラトン主義、神秘主義思想に依拠し「自然」と「人工」の対立の基底に唯一者としての自然を想定し、その文学表現としてガラス建築、ガラスの人工庭園を造形した。(「フローラ・モール」1912年)シェアバルトにおいてドイツ近代文学における庭園モチーフは、その極限に達したように思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] アイヒェンドルフ文学における庭園モチーフ2009

    • 著者名/発表者名
      桑原聡
    • 雑誌名

      人文科学研究(新潟大学人文学部紀要) 125輯

      ページ: 177-195

  • [学会発表] 近代ドイツ文学における庭園モチーフについて-ゲオルゲ、ホーフマンスタール、シェアバルト-2009

    • 著者名/発表者名
      桑原聡
    • 学会等名
      日本独文学会北陸支部研究発表会
    • 発表場所
      新潟クロスパル
    • 年月日
      2009-11-07

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi