ノヴァーリスからパウル・シェアバルトに至るドイツ近代文学における庭園モチーフにおいては自然と人工の対立が問題になることはよく知られている。一般にドイツ・ロマン派に始まる人工庭園の系譜(たとえばE.T.A.ホフマン)は、芸術の象徴としてS.ゲオルゲに極まると関連研究は指摘している。しかし、本研究は、ドイツ近代文学における人工庭園のモチーフには二種類あり、一つは芸術の象徴としての庭園であり、もう一つがユートピア(=楽園)としての人工庭園の系譜であることを解明した。後者がノヴァーリスからシェアバルトに至る系譜であり、その指標が「光」にあることを明らかにした。
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