ポール・ヴァレリーの晩年における作家活動を、彼がジャン・ヴォワリエにささげた二冊の詩集『コロナ』『コロニラ』や彼女に送った600通を越える手紙(フランス国立図書館所蔵)などを通して明らかにすることができた。また、未完に終わった『わがファウスト』の草稿研究(とりわけ、その第四幕の草稿研究)などを通して、ヴァレリーが書くこととエロスとの密接な関係を探求していたことも明らかにした。さらに、『コロナ/コロニラ』(みすず書房)および『わがファウスト』(『ヴァレリー集成』第6巻収録、筑摩書房)を翻訳し、これまでとは違った観点ないし角度からヴァレリーの作品を一般読者が発見することを可能にした。
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