研究課題
本年度(平成22年4月1日~平成23年3月31日)の研究実績概要本年度は、昨年開始したパリ国立図書館所蔵のフローベール『ヘロディアス』(分類番号N.a.f.Mss.23663_1-2)の草稿の中で、「切られた首が首切り役人によって会食者のところへ運ばれる場面」から、「昇る太陽とともに運び去られる最終場面」までを転記し、フランス文学において初めて描写された「サロメのダンス」に関する草稿の3年間にわたる転記作業を完了した。また、初年度に購入した草稿のマイクロフィルムのコピーでは判別できない箇所および、作家による鉛筆書きの記入等に関しては、引き続きフランス旧国立図書館site Richelieuにて自筆原稿閲覧の許可を取って調査し、正確な結果を転記に反映した。昨年と同様に『関東学院教養論集』に転記およびそれに関する論文を発表した。また、当初の研究実施計画に基づき、これらの転記の成果を用いて、三つのダンスの生成論的分析と、神話学的分析を学際的に行い、その神話的凝縮を新しい角度から論文にした。周辺の調査については、パリ市歴史図書館で、『ヘロディアス』に関する草稿手帳の全体的な基礎調査を行うとともに、『ヘロディアス』に関するカイエを詳細に点検した。『ヘロディアス』との間テクスト性が指摘されてきたギュスターヴ・モローの絵画については、ギュスターヴ・モロー美術館特別資料室および別館にて調査を行い、元ギュスターヴ・モロー美術館館長・オルセー美術館元主任学芸員で現在、フランス国立美術館名誉学芸員であるGenevieve Lacambre女史にインタヴューするとともに、問題の争点について議論を重ねた。同時に、オルセー美術館特別資料室にて、Dominique Lobstein室長のもと、『ヘロディアス』と十九世紀官展について調査を行った。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
関東学院教養論集
巻: 第21号 ページ: 13-27
Cahiers victoriens et edouardiens
巻: n.72 ページ: 167-184
Reveu de Hiyoshi, Langue et litterature francaises
巻: n.51 ページ: 71-86