研究論文 1.Zum Gebrauch der kontrahierten Formen von lazen in der mittelhochdeutschen Epik unter besonderer Berucksichtigung der gebundenen Dichtung 現代ドイツ語ではもっぱら使役の助動詞として用いられるlassenは元来は動詞であり、さまざまな目的語をとり、多様に用いられていた。中高ドイツ語ではそれとともに、次第に助動詞としての用法も増してくる。中高ドイツ語のlazenの本来の形とそれらの縮約形が、動詞および助動詞として、当時の代表的2大英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』と『クードルーン』でいかに用いられているかを、押韻とリズムの観点から比較的に示し、両作品の違いを明らかにした。これまでlassen(mhd.lazen)を押韻技法の観点から扱った研究はなく、ドイツの言語学会にも多少寄与ができたと自負している。 2.押韻技法の観点から見たhantの用法 これまで進めてきた名詞の迂言表現の続きとして今回は「手」を意味するhantを取り上げ、その意味用法を分類し、いかに押韻に多用されているかを示し、最後にハルトマン・フォン・アウエの代表的作品である『イーヴァイン』の全用例を検討しその特徴を明らかにした。これによって、従来の研究を一歩進めることができたと考える。
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