中世ドイツの叙事文学は語りの文学であるとはいえ、詩行のリズムを整え2行ずつ押韻することを絶対条件とする韻文の詩である。1行は基本的に強音と弱音の交替するリズミカルなタクトが4ないし6から成る。この制約の中で簡潔かつ的確に言葉を選んで自らの美的世界を描出することが詩人たちに求められた。そこではさまざまな語形・用語が用いられ、かくして中高ドイツ語文学独特の表現形式が生まれた。 本研究では、研究成果の欄で詳しく説明したように、それまでの研究結果を踏まえた上さらに調査の幅を広げ、言語の変遷という観点から4度の研究発表を行い、4本の論文を世に問うことによって新しい知見を斯界に示すことができた。
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