(1)本研究の目的は、中国で「題跋」と呼ばれる散文ジャンルの文学的意義を究明することである。 題跋は十一世紀宋代を代表する文人である蘇軾と黄庭堅の二人によって、新たな文学的様式として確立されたものであることは知られるが、題跋がどのような内容を盛り込もうとして試みられた散文様式であるのかという点については、十分に考究され尽くしているとは言い難い。 (2)本研究が意図するのは、題跋がどのような現実的内容を盛り込むことを意図する様式か、また序や記といった既存の散文様式とどう使い分けられたのか、またどのような新たな文学的伝統の形成に関わったのか、こうした問題を具体的に明らかにすることである。
|