研究課題
日本は、その発展過程において、西洋の文化を受容してきた部分は多大である。しかしながら、そうした受容の過程は単なる西洋文明の模倣に留まるのみならず、新たな文明の創出へと結びつくことが往々にしてある。大岡昇平がスタンダールを受容し、さらにそこから自らの創作へと結びつけていく過程は、まさにそうした文明間の受容と創造性を考えるにあたり格好の題材であった。本年度の交付申請書の内容に照らし合わせると、主に以下の通り成果が得られた。1)大岡昇平の『わがスタンダール』の翻訳を終え、その校正・脚注整理・引用の典拠の調査もほぼ完了した。2)大岡の上記著作における引用の典拠に対する収集・分析もおこなった。そこでは、下記の二項目にわたってすでにその収集・データ入力が完了した:a.『わがスタンダール』中に挙げられる仏文学作品および評論文のリスト、b.既往の大岡昇平研究論文のうち、本事業に関連するもの。加えてそれらの情報の検索用のインデックスや解題などを加える作業をほぼ完了した。3)比較文学者であるフランソワ・ルセルクル(パリ第三大学教授)へ比較文学の方法論に関してインタヴューを行った。4)京都国際高等研究所の共同研究プロジェクト「受容から創造性へ-日本近現代文学におけるスタンダールの場合」の第6回研究会において、研究発表した。5)上記のプロジェクトの成果を『受容と創造性-日本近現代文学におけるスタンダールの場合(第一巻)』(ジュリー・ブロック編、ピーター・ラング出版、2011年、362頁)を刊行した。また本年2012年3月にパリで開催された書籍見本市(「サロン・ド・リーヴル」)に、『日本より』(フィリップ・フォレスと編、ガリマール出版、2012年)が出品され、その中に大岡昇平の処女評論「スタンダアル(1783-1842)」の翻訳および解説を発表した。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (5件)
Du Japon『日本より』
巻: 599-600 ページ: 174-184
Reception et creativite, le cas de Stendhal dans la litterature japonaise moderne et contemporaine『受容と創造-日本近現代文学におけるスタンダールの場合』
巻: 1 ページ: 35-44
巻: 1 ページ: 149-158
巻: 1 ページ: 265-278
http://www.peterlang.com/download/datasheet/62575/datasheet_431031.pdf
http://effet-de-vie.org/compte-rendus/22-comptes-rendus/49-julie-brock-comptes-rendu-de-reception-et-creativite
http://www.decitre.fr/livres/Reception-et-creativite.aspx/9783034310314
http://www.iias.or.jp/research/project/2010_05.html
http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/20520325/2010/4/ja