研究概要 |
今年度は、清平出堂の刊本について、以下の版本調査を行った。 1.中国国家図書館所蔵の清平山堂刊行小説残本二篇(阿英発見本) マイクロフィルムによる不十分な調査しか許可されなかったため、次回の調査で原本により版匡の大きさ等を確認したい。 2.京都大学人文科学研究所蔵『六臣註文選』清平山堂刊本 来年度の補助金により、マイクロフィルム化する計画である。 また、清平山堂が刊刻に際して依拠したと想定される本について、以下の調査を行った。 3.広島市立図書館浅野文庫蔵『六臣註文選』明嘉靖據宋茶陵陳仁子刊本重刻 原本およびマイクロフィルムによる調査を行った。 4.広島大学附属図書館所蔵『六臣註文選』項氏万巻堂刊本 斯波六郎「文選諸本の研究」(『文選索引』所収、京都大学人文科学研究所,1957-59)に広島大学附属図書館所藏とあるが、調査の結果、この本は行方不明であった。 5.関西大学泊園文庫所蔵『唐詩紀事八十一巻』宋嘉定十七年懐安假守王禧慶長校刊 『関西大学泊園文庫蔵書書目』の記載によれば、清平山堂刊本の依拠した宋本かと期待されたが、原本調査の結果、明嘉靖二十四年張子立刊本であることが判明した。 以上の結果、上記4および5は、本研究課題の資料としては除外することとなった。引き続き、清平山堂刊本の原本によりその特徴を明らかにするとともに、清平山堂が刊刻の際に依拠した原本の発見につとめ、重刊・翻刻の閣係をさぐっていく予定である。
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