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2010 年度 実績報告書

日本統治期台湾における「大衆文学」研究-探偵小説を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 20520334
研究機関琉球大学

研究代表者

星名 宏修  一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (00284943)

キーワード台湾 / 大衆 / 読者 / 植民地近代 / 探偵 / アイデンティティ
研究概要

本研究は、台湾における大衆文学研究の成果を踏まえながら、植民地における日本語大衆文学(特に探偵小説)の寒相とその読者像を明らかにすることを目標とする3年間のプロジェクトであった。
最終年度にあたる平成22年度は、これまでの研究成果をまとめた論文(「萬華と犯罪-林熊生「指紋」をめぐって」)を執筆した。この論文は、台北帝国大学医学部教授の金関丈夫によって執筆された「指紋」という探偵小説を論じたものである。皇民化運動期の台湾においてもてはやされた「皇民文学」が、個人的な信念によって日本人と台湾人を隔てる生物学的な障壁の超克をテーマとしていたことに対して、探偵小説という「大衆文学」の手法を用い、人類学的・解剖学的な観点から、「皇民文学」への違和感を込めた作品であることを論じた同論文は、王徳威ら5人の編者の手による論文集『帝国主義と文学』(研文出版)に掲載された。
また、戦前の日本において絶大な人気作家であった火野葦平の海南島をめぐるルポルタージュを参照軸として、在台日本人文学者である紺谷淑藻郎の「海口印象記」を考察した「何謂「海外進出」:試析紺谷淑藻郎海口印象記」を、台湾・清華大学台湾文学研究所主催の国際シンポジウム(跨國的殖民記憶與冷戰經験:台灣文學的比較文學研究國際學術研討會)で発表した。大東亜戦争期勃発直前に執筆された「海口印象記」が、はからずも日本の「大陸進出」の実態を、植民地の読者に伝えてしまったテクストであることを論じた報告は、シンポジウム終了後にすでに加筆を行い、平成23年度に論文集が刊行されることになっている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 何謂「海外進出」:試析紺谷淑藻郎海口印象記2010

    • 著者名/発表者名
      星名宏修
    • 学会等名
      跨國的殖民記憶與冷戦經験:台灣文學的比較文學研究國際學術研討會
    • 発表場所
      台湾・清華大学
    • 年月日
      2010-11-19
  • [学会発表] 『跳鐸時代』の時代2010

    • 著者名/発表者名
      星名宏修
    • 学会等名
      国際シンポジウム東アジアの越境・ジェンダー・民衆-ドキュメンタリーと映画から見た日台関係の社会史
    • 発表場所
      一橋大学
    • 年月日
      2010-11-03
  • [図書] 王徳威・塵柄恵・松浦恒雄・安部悟・黄英哲編『帝国主義と文学』2010

    • 著者名/発表者名
      星名宏修
    • 総ページ数
      529(339-363)
    • 出版者
      研文出版

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公開日: 2012-07-19  

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