本年度は研究計画の初年度にあたるため、フランス語と日本語のモダリティに関して、総論的な基礎づけと、具体的な研究対象となる諸表現のデータ収集、整理を行なった。 各論的な研究としては、とくに時制形式のモダールな用法に着目し、時間指示機能と、モダリティ標示機能がどのような連関におかれているかを検討した。それらの連関を説明しうる枠組みとして、分岐的時間(temps ramifie)の表象を用いた説明がとくに有効であることが判明した。その枠組みを用いることにより、従来は必ずしも一貫した説明が与えられなかったいくつかの現象を関連づけながら扱うことができることが明らかになった。 平素の活動としては、科学研究費補助金(基盤研究(C))課題番号19520414「目英語ならびに西欧諸語における時制の比較研究」(研究代表者和田尚明)と合同で、筑波大学内で6回にわたって研究会を開催したほか、当研究課題独自では下記の公開講演会を実施し、新たな知見を得るとともに、討論を行なった。 伊藤達也(名古屋外国語大学)「モダリティの意味、モダリティと意味-日仏対照言語学の観点から」2008年12月5日 成果発表としては、別欄に示した学会発表を行ない、論文を公刊したほか、現在印刷中の論文もある。
|