研究概要 |
本研究は,スペイン語の文法研究の中でも特に問題となることの多い統語現象(叙法,人称代名詞,再帰代名詞,関係詞,照応,性・数の一致,主述の一致,語順,ボイスなど20程度の文法テーマ)について,その使用実態を地理的バリエーションの観点からとらえることにより新たな分析・研究方法を提示することを最終的課題とする. 23をこえる国や地域からなる広いスペイン語圏から選ばれた約30地点において統一的現地アンケート調査を実施し,得られた結果データを数値化し,これを相互に比較することにより,これまで前例がないスペイン語「文法」のいわば「方言地図」を作成することが第一の作業となる.次に各文法テーマを地理的変異という新たなパラメーターを導入して考察を行うことにより,これまでの文法研究とは異なる分析視点を提示することが第二の課題となる. 今期2年目の昨年度21年は,ボリビアの首都ラパスおよび第二の都市エル・アルトにおいて学生を対象とする調査を行った.その後、同アンデス地域のエクアドル、首都のキトの現地大学においても学生に対する調査を実施した.ボリビアのエル・アルト大学では2言語併用の学生たちから得られたデータは、スペイン語に与える先住民語アイマラ語の影響について調べる貴重なデータとなっている.これをもって、南米はベネズエラを除くスペイン語圏の首都すべてで調査を終えたことになる.
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