研究課題/領域番号 |
20520350
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
坂本 真樹 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (80302826)
|
研究分担者 |
内海 彰 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (30251664)
|
キーワード | 共感覚比喩 / 否定的意味 / 形容詞比喩 / 名詞比喩 / 動詞比喩 / 心理実験 / 認知言語学 / 意味 |
研究概要 |
平成20年度の研究により、形容詞比喩の一種である共感覚比喩は否定的な意味の喚起が起きる傾向があり、その傾向は色彩を表す形容詞から作られる比喩において強いことを確認した。平成21年度の研究では、形容詞比喩において否定的意味が喚起される要因として、喩辞単独から肯定的な意味要素が潜在的に喚起されていても、人は否定的な意味要素の影響を受けやすいことを確認するとともに、形容詞比喩の意味処理過程において、喩辞から喚起される知識と被喩辞から喚起される知識が経験上共起するイベント知識の重要性も明らかにした。 平成22年度は、これらの研究成果をまとめることを目的とし、心理実験を通して形容詞比喩の意味処理メカニズの特徴について詳細に検討を進めた。 平成21年度までの研究では形容詞比喩についてのみ研究が進めてきたが、平成22年度は形容詞比喩の特徴をまとめるべく、否定的意味の喚起が形容詞比喩のみの特徴であるのか、名詞比喩と動詞比喩が喚起する意味との比較を通して以下の手順により検討を行った。 名詞比喩、動詞比喩、形容詞比喩それぞれについて、肯定的あるいは否定的な意味に偏らない中立的な意味を持つ被喩辞を選定した。また、被喩辞と組み合わせて不自然な表現にならない喩辞の選定を行った。これらの被喩辞と喩辞を組み合わせて比喩表現を作り、その意味を被験者に評価してもらう心理実験を行った。それぞれの比喩表現の意味が、比喩表現を構成する被喩辞のみの意味と比べてどのような変化をするかを分析した結果、比喩表現は、一般的に喩辞の意味と同じ意味を喚起しやすいが、喩辞が中立の意味を持つ場合は、形態によって比喩表現の喚起する意味に違いが生じることが明らかとなった。喩辞が中立の場合、名詞比喩は中立な意味を喚起するが、動詞比喩は名詞比喩に比べて否定的な意味を、形容詞は動詞比喩よりもさらに強く否定的な意味を喚起することが明らかになった。
|