研究概要 |
本研究課題の「統語構造の階層性に関する対照言語学的研究」は本年度が4年目で、課題の研究期間の最終年度にあたる年となる。したがって、今年度は、最終的な成果を出し、研究成果の報告が行えるようにすることを目標に研究を進めた。今年度は、理論的考察を前年度に引き続き行い、言語現象を的確に記述できる理論開発を終了するための文献の調査などを行った。当初の目標としておいていた、実証的な側面と理論的な側面の双方から、既存の統語理論における問題点を解決するために,日本語および英語を中心に基本となるデータの収集と整理を行った。より具体的には、前年度に引き続いて、日本語・英語およびHindi,Marathi,Bengali語の特殊構文(属格主語構文および与格主語構文)の比較対照を行った。また、新たに、項の交替現象や等位節構造の検討を行い、最終的な報告のための研究を行った。さらに、本年度は、前年より引き続き行ってきた主語の階層性(主語がどのような構造位置に現れるかについての問題)について問題の解決を見いだすことができ、また、このことについて論じた論文の執筆も終了している。本年度は,イタリアとドイツに出張する機会を得ることができ、その際に、他の研究者との意見交換および研究発表を持つことができた。また、この成果の一部は、参加した国際学会の会議録に掲載される予定である。またこの他にも,本研究に関係する論文が学術雑誌にいくつか掲載された。以上のように、最終度も着実な研究の進展と成果が得られ、最終の研究成果の報告をし研究を終了することが可能になった。
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