研究課題/領域番号 |
20520357
|
研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
有働 眞理子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40183751)
|
研究分担者 |
高野 美由紀 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (70295666)
|
キーワード | オノマトペ / 知的障害児 / 教師発話 / 韻律 / リズム / ジェスチャー / 発話意図 / 教育的文脈 |
研究概要 |
最終年度である平成22年度は、平成20年度の成果(韓国のオノマトペ表現の分析、日本の特別支援学校の授業観察)、及び平成21年度の成果(日本の特別支援学校の授業場面で用いられるオノマトペ表現の調査・分析・考察)をふまえて、より普遍性の高い考察としてまとめ、分析の適切性を検証することに研究の重点を置いた。 特に、教師発話中のオノマトペ表現の音声的特徴と対話意図・機能の関係、オノマトペ表現に随伴するジェスチャーの特徴と対話機能との関係について検討することを、研究の軸として考察した。さらに、ハンディを負う知的障害児と、教育を担う教師の間で、観察された音声や身振りの相互作用が、どのような形で対話を発生させているのか、手がかりを求めて、詳細な観察・考察を試みた。 その結果、オノマトペ表現が使用される状況は、一定のパタン化・分類が可能であり、教室という教育的文脈に特有の対話の構図が見られることがわかった。また、音声表現と身振り表現の絶妙な調和によって、発話意図が、より効果的に相手に伝わる様子が明らかにされた。即ち、発話の韻律とリズムが、ジェスチャーや単純な身体動作と連動することで、音声信号が視覚化される効果を生み、合図や指示、寄り添いなど、障害を持つ子どもたちへの働きかけとして有効に機能する様子が観察された。 研究結果については、国際ジェスチャー学会(平成22年7月於フランクフルト)及び国際知的障害研究学会(平成22年10月於ローマ)、及び日本特殊教育学会(平成22年9月於長崎)などの学会発表や学会誌論文(『特殊教育学研究』)において、成果を発表した。さらに、本研究には、対話能力発達を目指す子どもたちのために役立つ研究でありたいという、社会貢献的動機が根底にあったが、そのための努力として、特別支援学校校長・教師や、知的障害者のケアに携わる人々を交えて、研究会を開催した(平成23年2月於神戸)。
|