本年度の主たる研究実績としては共著2点である。ひとつは、英語教育学大系第8巻『英語研究と英語教育』(岡田伸夫、南出康世、梅咲敦子(編))に第6章「関連性理論」として著したL2教育を関連性理論からみた論考である。もうひとつは、武内道子、佐藤裕美(編)『発話と文のモダリティ』の第2章として書いた「引用とモダリティ-メタ表象の視点から」である。前者は関連性理論を英語教育に応用する際の問題点とサジェスチョンを述べたものであるが、後者は本研究テーマと直接かかわる引用をメタ表象と関連づけて論じたものである。 また、二期にわたる科研の集大成として、現在『語用論の射程』というタイトルの単著が印刷中で近々刊行予定である。これは理論的中核をなす関連性理論の概要からはじめ、語彙の語用論的情報、ダイクシス、引用、テクスト現象、などを語用論の守備範囲として論じたものである。 また、実証的なデータとしてスモールコーパスながら、引用、ダイクシスにかかわるペーパーバックの用例と日本語の会話コーパスから引用に関連するものをデータとして収集した。
|