これまでに蓄積されてきた録音資料に基づき、日本語諸方言アクセントの解明を行う。また、録音資料のデジタル化・公開を行い、研究者が資料を共有することによって、研究の一層の進展をめざす。 日本語諸方言のアクセント研究は、昭和初年以来、数多くの優れた研究成果をあげてきた。アクセント調査時の録音も多量に蓄積されてきたものの、個人所蔵かつ未公開のものが多い。公開されている音源もないわけではないが、まだまだ対象方言・分量・内容が限定されている。 一方、方言アクセントの衰退・変質が進行しつつあるため、新たな臨地調査はこれからも重要ではあるものの、古い時代の録音資料が重みを増してきている。しかし、古録音資料に基づくアクセント研究はまだそれほど多くはなく、今後が期待される分野である。 デジタル化・公開された音源をもとに、新たに聞き取り・音響分析を行うことによって、記述をより客観的・精密的なものにするとともに、現在調査不能な上の世代から現在に至るアクセントの変遷を明らかにすることが可能である。 本研究で対象の中心とするのは、近畿から四国北部にかけて分布する諸方言である。
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