研究概要 |
研究テーマの全体から見たとき、昨年度の研究成果はポライトネスへの傾きが強かったことに鑑み、本年度はモダリティー研究との接点と展開を探ることに力点を置いた。その結果、ポライトネスの文法論的位置づけは、従来の命題/モダリティーという2分法ではなく、それとは別次元の客観性/主観性という2分法が要請されるとの見解に達した。また、その過程で、日本の文法研究史における敬語とモダリティーの扱い方について新たな知見を得ることができた。 本年度の研究活動においては、他の研究者との意見交換に力を入れ、研究成果の口頭での発表も積極的に行なった(下記参照)。なかでも、金水敏・井上優氏との共同シンポジウムは、100名を超える聴衆を得、日本語敬語の歴史的展開も踏まえて、過去と現在をともに視野に入れることのできる枠組みを探る非常に有意義な会となった。 <講演> 滝浦真人「対話におけるポライトネス-文化研究の方法-」名古屋大学大学院国際言語文化研究科・対話セミナー、2009/11/07 <対談> 金水敏・滝浦真人「日本語の「今」を捉え損ねないために-ポライトネス研究と歴史語用論から見えてくるもの-」『月刊言語』(第38巻第12号,特集・言語学的探求の行方)大修館書店,pp.8-18、2009/11 <シンポジウム> 滝浦真人・金水敏・井上優「敬語における視点とモダリティー:歴史語用論とポライトネスの観点から」(科研費補助金によるシンポジウム)於・麗澤大学東京研究センター、2010/02/26
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