研究課題
基盤研究(C)
ブラウン&レヴィンソンの「ポライトネス理論」は、対面コミュニケーションに関する<距離>の理論として読み替えることができる。<距離>を共通の軸として据えることによって、モダリティーの機能を考える上でも大きな利点がある。第一に、敬語や呼称によって表現・伝達されるモダリティーを別個に扱うのでなく、対人的<距離>における相対的遠近として包括的に捉えることができる。第二に、敬語や呼称等の対人的モダリティーのみならず、指示詞や終助詞等による対事的モダリティーをも、話し手が聞き手に対して抱く対人的距離感の反映として、相対的な遠近の相のもとに収めることができる。さらには、発話の言及内容領域における差異や言語行為の種類によって表される対事的距離も取り込むことができる。こうしたプロセスを通じて本研究は、呼称、指示詞、終助詞等において表される対人的および対事的モダリティーと言語表現における対人的距離感との関係を解明することを目的とし、それぞれにおいて表現・伝達される距離感を体系的に記述することができた。さらに、言語体系が<距離>を組み込んでいるさまを全体的に比較することで、日本語と韓国語、日本語と中国語とを対照しながら、対人的距離感の表現方法の異同を語用論観点から考察した。その結果、日本語における形式性と常同性への傾きと、韓国語および中国語における実質性と非定型性への傾きが、顕著な特徴として見出された。
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日本語研究の12章(上野善道編)明治書院
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