研究目的:本研究の目的は、メディアや、公的機関等のデイスコースに未だに(特に無意識に)観察されることのあるジェンダーバイアスを批判的談話分析(CDA)の視点等を用い、系統的、且つ詳細に調査、明らかにし、この結果を広く社会に還元し、人々の意識改革と、真の意味での男女共同参画の推進に寄与することである。 研究方法及び経過:H20年度は主として、以下のデータ収集・分析及び理論的背景の構築に努めた。 1)「男女共同参画白書」(H12-19)とスウェーデン等の男女共同参画先進国の同種のデータの比較分析。 2)日英メデイア、特に新聞各紙、におけるジェンダーバイアスを含むデイスコースの収集、分析。 3)2)で収集した新聞広告に関し、日英大学生及び卒業生にこれに対する意見をインタビュー方式で尋ね、収録。加えて、ストックホルム大学のジェンダー研究所員、及びオレルボ大学言語学教授との意見交換、打ち合わせの実施。 4)政策施策担当者、及び、教育担当者へのインタビュー 英国:ロンドンランベス区の人事担当者、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジの教員などへのインタビュー実施、男女共同参画の英国の現状を探った。 スウェーデン:男女平等省担当官と報道オンブズマンも訪問、今後の情報提供等の同意も得た。 研究成果:詳細分析は続行中であるが、新聞広告を基にしたインタビューでは日本と英国、スウェーデンの情報提供者の間に顕著な意識の違いが観察され、これは政策及びジェンダー教育の違いなどに起因することも示唆しており、興味深い結果といえる。 また、各国施策の詳細な比較調査でも、細かい違いが見られ、これを人々の意識の差とも結びつけながら、詳細分析を継続中である。人々が無意識に持っているジェンダー意識の改革が男女共同参画に大きな役割を果たすことが、調査で明らかになりつつあると確信する。
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