文は、主語、目的語、動詞等を基本的な構成要素とするが、その左方周縁部には、主題、焦点等の談話的機能を有する要素が表れる。この文周縁部の普遍的な文法構造の解明は、統語論の主要テーマの一つである。本研究では、語順が比較的自由であり、埋めこみの標識(例えば、「と、か、の」等)が豊富であるといった日本語の特徴に注目しつつ、日本語の分析を基礎として、文周縁部構造の解明に寄与する研究を行った。また、名詞句構造については、複数形が欠如し、分類辞(「個、人、本」等)を多用する言語として、日中語の比較研究を行い、名詞句構造の一般的特徴を明らかにする研究を遂行した。
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