研究概要 |
日本語において、書き言葉に対し話し言葉にはどのような特有の現象があるかを解明することを目指し、その一つの現象である助詞が発話の冒頭に現れる現象を中心に、記述的および理論的アプローチにより研究を進めてきたが、本年度は、本科研最終年度でもあるので、これまでの研究成果をまとめ、公開するための準備が活動の中心となった。 まず、記述的アプローチについては、平成23年度までに作成した自由会話、インタビュー会話、話し言葉コーパスそれぞれの資料について、ホームページ上に公開するための準備を行った。 次に、理論言語学的アプローチであるが、このうち、統語論的研究については、上記の資料をベースにさらなる分析を進め、論文として完成させるために、海外研究協力者である吉田方哉氏のいるノースウェスタン大学(米国、イリノイ州)に出張し、最終的な打ち合わせを行った。その成果の一部をShoin Round Table on Syntax and Semantics(2012)で発表した。研究成果の社会への貢献の一環として、本研究課題に関連する内容を文化庁委託事業の講座で紹介した。 なお、平成22年度末に第7回日本語実用言語学会で発表した内容をJournal of Japanese Linguisticsの特別号に投稿するために英語論文を完成させたが、残念ながら不採録となったので、その論文を改訂した上で、平成24年3,月末締め切りの学会誌に投稿し、現在結果を待っている状況である。
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