本研究は、資料そのものを海外調査によって得るため、平成22年度も前年度に引き続き得られた資料を利用した補助動詞的な語の詳細な検討、およびラオスでの資料収集とそのデータベース化、という内容で研究を進めていった。 具体的にはまず、前年度までに蓄積されたコーパス資料を使用してアスペクト辞の一つである「si(未然)」について検討を行った。そして2010年7月にタイ国コンケン県での「第3回国際ラオス学会」でその成果の一部を発表した。また、10月より翌年3月までの間のラオス長期滞在を利用して、ラオス側の協力機関であるラオス国立大学でラオ語の資料収集および入力作業を行った。特に今回は現地長期滞在によって、より効率よく自然な形で収集できる話し言葉の収集に努めた。言語研究に利用できるようなラオ語の言語コーパス構築は急務であり、現地の協力を得て一つでも多くの資料を慎重にかつ迅速に入力作業を行うことは本研究の遂行のみならず、今後の国内外におけるラオ語の言語研究にとって役立つものであると考えている。また新たな試みとして、本研究の背景となった先行研究などをラオスの研究者と読む読書会や過去2年間の現地調査によって収集できた資料を使用したラオ語についての研究会をラオスで設け、関係研究者と意見交換を行った。7月の国際学会やラオスでの研究会によってラオ語研究の現状を再認識することができ、より一層ラオ語資料のデータベースの構築の必要性を確認することができたことは最終年度に向けての大きな収穫であった。
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