研究概要 |
本研究「コミュニケーション行動制御慣用表現の日独対照研究」の課題は、日本とドイツの対応する社会化場面において使用される言語表現を収集・分析し、両言語の表現形式間の相違点と類似点を見出し、そこから両言語で期待される協調行動にかかわる価値を引き出すことにある。本研究実施初年度にあたる平成20年度の「研究計画・方法」は、申請書に記したように、対照研究のための基本的枠組みの設定と日本語資料収集と分類にあてられることになっている。基本的枠組みを設定するための準備作業として、日独で対照可能な場面や比較可能な言語表現のサンプルをさまざまな文献や言語資料(小説やドラマなどにおける親子の会話、子どものしつけに関する図書、しつけやマナーに関する実用書など)から収集・検討しているが、この作業は、関連文献や資料の入手が予定より大幅に遅れため、現在もなお継続中である。そのため、平成20年度中に成果の一部を発表することはできなかったが、平成21年度中には論文として公表する予定である。たしかに対照の枠組みに関する成果は平成20年度中に公表できなかったが、上記作業の途中で、依頼の際の配慮行動に関わる慣用表現と労働に関連する価値の日独の違いについて興味深い事例が見つかった。その成果の一部を平成20年8月末にドイツのオスナブリュックで開催された日独社会科学学会において口頭発表した。この発表論文は、平成21年9月にPeter Lang社より刊行予定の論文集(G. Szell, H. Sunker, et al. (e ds.): QUALITY OF LIFE & WORKING LIFE IN COMPARISON)に収めれられることになっている。日独対照のために設定された枠組みに基づいて、平成20年度中に実施する予定であった日本人児童の保護者に対する日本語慣用表現収集のためのアンケート調査は平成21年度に実施する予定である。
|