対応する日本語表現とドイツ語表現との間に表現視点(視座)の違いがあること指摘されるが、それを例証するために文芸作品の原文とその翻訳を比較するという方法がとられることが多い。しかし、比較の際、翻訳を用いると、たしかに同一事態を表わす表現どうしを対比させることができるが、起点言語の表現方法による影響や訳者による個人差を排除できないという点で問題がないとはいえない。本研究においては、対応する日常的な社会化場面において使用される同一機能を果たすコミュニケーション行動制御慣用表現を利用することにより、表現視点の違いをより客観的な形式で比較し、その差を明らかにした。
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