本研究の目的は、日本語とフランス語の色彩表現を対象として、ディスコースにおける語の形式の対照研究を行い、語とその文法を説明することを目的とする。 購入済みの日本語とフランス語の対応コーパス、および、ウェブから入手したパラレルコーパスにおける色彩表現の使用の調査をさらに進めた。日本語とフランス語に関して、N-gramの手法により、色彩表現を含む連語のリストを作成した。 フランス語については、新聞コーパスと文学テクストのコーパスの比較により、新聞コーパスにおける、複合語の形成における色彩語の役割に関する仮説を立て、口頭発表を行った。すなわち、色彩語が公的な名前をもつ指示対象のニックネームのように用いられる。また、色彩語は閉じた体系を形成するため、色彩語の部分だけをとりかえて別の連語を形成することが可能である。この研究を次の9月の国際学会で発表することになった。 日本語については、品詞によって異なる色彩語の意味と語彙の特徴に関する研究を共同執筆の著書にまとめ、その図書が出版された。 コーパス構築の方法に関して専門家にレクチャーしてもらった。色彩表現は話し言葉に出現することが稀であるので、話し言葉のコーパス構築は色彩表現の研究には適しているとは言えず、工夫が必要であることがわかった。 フランスに出張して専門の研究者と研究打ち合わせを行い、今後の共同研究の方向を決めた。
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