研究課題
基盤研究(C)
本研究は、キエフを中心とした11世紀~13世紀ロシアの文章語の成立について、その基層となった東スラブ語の本来的特徴と、それに対する南スラブ語、すなわちスラブ世界における最古の文章語としての古教会スラブ語の影響という、2つの観点から検討する。その際、従来の語彙を中心とした議論に対して、テクストの構造と結束的なテクストを作るための種々の言語形式の使用という点に対象を絞り、その分野における古教会スラブ語の影響を明らかにすることを目指す。具体的には、次の3つの点から議論を進める。(1)古ロシア年代記『過ぎし年月の物語』に見られるテクストのタイプの区別、すなわち「事実叙述」タイプのテクスト部分と「コメント」タイプのテクスト部分の区別という考え方が、古教会スラブ語テクスト、各種聖者伝テクストの分析にも有効であるかどうかを検証する。(2)古教会スラブ語、各種聖者伝における、テクストのタイプと語順の分布の相関を明らかにする。(3)古教会スラブ語、各種聖者伝における、テクストのタイプと指示代名詞の分布の違いを明らかにする。その上で、12世紀ロシアの文章語としての『過ぎし年月の物語』の文体がスラブ文章語全体の中で、どのように位置づけられるのかを検討し、その書き言葉としての独自の文体が、ロシア(東スラブ)で独自に成立し発展したものなのか、他のスラブ文章語の影響を受けて成立したものなのかを明らかにする。
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京都大学文学部研究紀要 50
ページ: 81-131
Comparative and Contrastive Studies in Slavic Languages and Literatures 2008 : Japanese Contributions to the 14th International Congress of Slavists.
ページ: 1-40