研究課題/領域番号 |
20520387
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
堤 良一 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (80325068)
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研究分担者 |
岡崎 友子 就実大学, 人文科学部, 准教授 (10379216)
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30379218)
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キーワード | 指示詞 / コソア / 現場指示・直示 / 方言 / 世代差 |
研究概要 |
本年度は、前年度の成果を踏まえ、指示詞のさらなる方言の相違を調査する計画を立てた。まず、前年度に浮上した問題として、記憶指示のア系列には「アノ人なら、会ったことはないけど有名ですよね」のように、「今話題に上っている人」あるいは、「例の人」というような解釈になるものがある。これを「例の読みのア」と名付け、前年度の調査を踏襲しながらも「例の読み」を除外するような調査法を構築することが会議で方針として提案された。 しかしながら、これは非常に難しい問題を孕んでおり、本年度の研究課題として十分に解決されたとは言えない。この問題を理論的・記述的にまとめた後に、再び九州地方に赴き、純粋に記憶指示のアが、実際の経験なしにも使用できることを示したい。「例の読み」の存在を示唆することができたのは本研究での成果である。 次に、分担者(岡崎氏)より、そもそも指示詞の直示用法にも方言差・世代差が存在するのではないか、もしそうであるならば、指示詞の全容を捉える鍵が、直示用法を調査することによっても得られるのではないかとの提案がなされた。 そこで、代表者(堤)と分担者(岡崎)が各々の本務校の学生に協力を仰ぎ、中国地方出身の若者の直示用法における指示詞を調査した。幸いにもこの研究には東京で行われた調査データが先行研究として存在しており、我々の調査は同じ調査法で西日本で行われた最初の研究ということになる。 この結果については、大阪大学で行われた第5回指示詞研究会において共同で発表し、また各々が論文として公表した。 同様の調査を今後全国的に行っていくということを、年度末の会議において決定したが、今回行った調査法の問題点などを洗い出し、次年度における調査ではより精緻な方法論を用いて調査を行うことになる。
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