方中履著『古今釈疑』の第十七巻、全10節からなり、通称「切字釈疑」と呼ばれる部分について、1988年中国の江蘇広陵古籍刻印社が影印刊行した康煕年間汗青閣刻本『古今釈疑』を底本として、「昭代叢書」本「切字釈疑」や抄本である「授書随筆」本などとの校合を行い、節ごとに区切って、現代日本語による訳文を作成、また、本文が引用する文献をできるかぎり実見してその典拠を調査し、かつ、それら引用文献の内容や価値について論じた先行研究を参照することにより、必要と思われる箇所に注釈を加えてゆく。作業は全10節を5カ年間に配当して進め、1節ごとに成果をまとめて、学術雑誌等に投稿する。全体として、「切字釈疑」訳注を完成させることをめざす。 参考資料としては、2005~2007年度の研究課題遂行の際に購入することのできた電子版「四庫存目書」が使用可能であることが大きな便宜となった。そのほか、なお学内では実見しえないものや、紙媒体の資料については、毎年度、東京の国立公文書館(旧内閣文庫)や東京大学東洋文化研究所をはじめとする国内各漢籍所蔵機関に出張して、蔵書を閲覧・調査・複写して参考に供する。
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