研究課題
本研究課題はドイツ語を対象に、非定形項や補文を取る述語を語彙意味論的に分析することを目的としている。研究第2年目であった2009年度は、前年度に収集した意志・願望の述語が用いられた実例をデータベース化し、詳細な分析を進めた。また、これと平行して、願望表現と対極的に位置づけられる感嘆文にも取り組み、意味論が動詞配置の問題のどこまでを解決できるものなのか、考察を行なった。その成果は日本独文学会第37回語学ゼミナールにおける口頭発表Was wusste der Wackemagel schon alles! Zur Verbstellung in den sog.Exklamativsatzen im Deutschen(2009.8.26.ホテルオークス京都四条)で披露した。さらに、理論的な基盤となる語彙意味論に関連して、日本独文学会秋季研究発表会においてシンポジウム「「文意味構造」の新展開-ドイツ語学への、そしてその先への今日的展望-」(2009.10.18.名古屋市立大学)を開催し、自らも基調報告「意味構造と項構造-基本関数の認定とその複合をめぐって-」を行った。これにより、本研究課題が立証を目指すテーゼ、すなわち、意志や要求の動詞が、ちょうど一般動詞がDOやCAUSEなどの下位述語に分解されるように、VOL(意志)やOBL(義務)などの下位述語に分解され、この分解に基づいて、その態的な振舞いが記述・説明できるというテーゼをその前提部分において強化することができた。
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Deutsche Sprachwissenschaft international(C.Di Meola & R. Hoberg(eds.), Frankfurt a.M.: Lang) 5
ページ: 113-126