研究課題
今年度は、各自の調査を中心にすすめた。佐野はイタリアのフランコ・プロヴァンサル語とオクシタン語の境界地域にて、フランコ・プロヴァンサル語団体や村の文化政策担当者へのインタビューを行った。また、フランスのバスク語とオクシタン語の境界地域であるバイヨンヌ市にて、市の文化政策担当者、Institut Basqueへのインタビューを行い、バイヨンヌ市アーカイブにて資料収集を行った。さらに、ベジエ、カルカッソンヌにて、言語領域と「地域圏」政策の関連についての資料収集を行った。木村はゲルマン・スラヴ言語境界にあたるドイツ・ポーランド国境地域の言語学習・使用について調査を行った。言語学習については、教育メッセに参加し、言語教育に関する資料を収集したほか、隣接言語教育を行う幼稚園、学校、成人向けの言語講座を訪問した。また言語使用については、言語景観の調査のほか、国境両側の教育担当者および相互交流関係者にインタビューを行った。塚原は、アラゴン自治州におけるカタルーニャ語使用について、バルセロナにおいて、バルセロナ大学カタルーニャ文献学科教員Mar CruzPinol氏と意見交換を行い、文献収集を行った。文献収集についてはマドリードにおいても実施した。ビエーリャ・レリダ・バルデロブレス・モンソン・ハカ・ベナスケにおいては、カタルーニャ語およびその他地域言語の公共空間における使用実態に関する調査を行い、その学習環境についても情報収集を行った。これらの成果について相互に報告するために国内で一度会合を開いた(11月21日)。その際、非常に安定した「言語領域」の認識を持つ地域(フランコ・プロヴァンサル語とオクシタン語の境界、ソルブ、カタルーニャ自治州)がある一方で、「人々の移動」が言語領域の認識や政策に大きく反映された地域(バイヨンヌ、シロンスク、アラゴン州ポネント地方)もあることが確認された。また、そもそも言語地図をどのように描くべきかという問題(空間を「塗り込める」のか、「境界線」を設定するのか、または「点」「立体」としてとらえるのか、など)についても議論を行った。
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Fiedler, Sabine(Hrsg.) : Esperanto und andere Sprachen im Vergleich, Berlin : Gesellschaft fuer Interlinguistik 16巻
ページ: 11-24
La Voix Occitane-Actes du VIIIe Congres de l'Association International d'Etudes Occitanes(AIEO), Presse Universitaires de Bordeaux 2巻
ページ: 965-980
『月刊 言語』2009年10月号(大修館書店) 通号459号
ページ: 82-87
『Hispanica』(日本イスパニヤ学会) 53号
ページ: 127-149
社会言語学(「社会言語学」刊行会) 9号
ページ: 345-350