研究課題/領域番号 |
20520393
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
佐野 直子 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (30326160)
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研究分担者 |
木村 護郎クリストフ 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90348839)
塚原 信行 京都大学, 高等教育研究開発推進機構, 准教授 (20405153)
石部 尚登 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 研究員 (70579127)
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キーワード | ヨーロッパ / 多言語社会 / 領域性 / 少数言語 / 言語政策 |
研究概要 |
本年度は最終年度であるため、研究成果の総括のため議論と、その成果の発表にあてた。また、その研究成果発表のための追加調査を行った。 今年度から新たに分担者に加わった石部氏も含めた4名で、5月22日に慶應大学湘南校舎にて第一回会合を開催し、「言語の領域性」認識の各国における言語政策への反映とその比較検討を行った。ベルギーという「領域性」原則が国家原理そのものに組み込まれているもっとも「極端」な事例が加わることによって、ヨーロッパ各国のグラデーションがより鮮明になり、「言語の領域性原則」が言語政策に反映される際に考慮すべき基準が確認された。すなわち、(1)人の移動の多寡(2)言語間の距離(ロマンス語同士の場合、隔絶言語の場合、など)(3)地方自治体の権限の差(国家の地方分権制度の中身)(4)国ごと、言語ごとの「言語観」「言語」概念そのものの差(5)都市部、農村部の差(6)「売れる」(より人気のある、勢力のある)言語、「売れない」言語の差などである。 また、ヨーロッパ各国の「言語の領域性」認識が生まれ、それが政治的に動員されていく過程そのものには共通性があるものの、その適用のあり方は各国において大きく異なる一方で、それぞれの地域で言語の「脱領域化」が実感されており、そのための新たな対応がせまられていることも確認された。そこで、この共同研究を今後も続けていくことを決定し、9月に東京外国語大学サテライト校舎にて第二回会合を開き、具体的な研究計画の打ち合わせを行った。 2010年12月には多言語社会研究会第六回大会において、本基盤研究の研究成果を発表し、2011年2-3月の追加調査を経て、2011年3月に名古屋市立大学にて第三回会合を開いた。そこでは、12月に発表出来なかった木村氏が研究成果を発表し、「言語の領域性」が政治化する過程とわかちがたく結びついている「民族」概念の各言語でのずれについて議論し、今後の課題を確認した。
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