研究課題
本研究は、心理言語学研究のひとつである母語獲得のメカニズムを、特に機能範疇の獲得に焦点を当て、生成文法理論の枠組みで捉える研究である。本研究の目的は、複数の言語における言語獲得の中間段階の文法体系を精査し、それらの背景にある普遍文法の原理・パラメターを言語獲得と文法理論の両面から探り、言語獲得理論の精緻化を目指している。本年度の具体的な成果は、以下のとおりである。(1)本科研プロジェクトでは、ヨーロッパ言語を中心として言語獲得の初期段階にみられる時制の未指定の動詞形Root Infinitivesという現象が、日本語にもみられることを研究史上、はじめて明らかにしている。本年度はこの成果をボストン大学言語獲得研究学会(ボストン、米国)や学内紀要で発表した。さらに、日本語のような格表示が豊かな言語においては、時制の未指定の特徴が格の誤用にも反映されることを指摘し、コーパスを用いて実証的に格の誤用について調査し、なぜそのような誤用がみられるのかについて、今年度は属格主語に関して理論的分析をおこなった。この成果は、ボストン大学言語獲得研究学会(ボストン、米国)において発表した。(2)機能範疇の中で補文標識や限定詞などについても幼児(0歳児)から4歳までの実証研究を整理し、その成果を学内の言語学研究センター報や国際学会(Glow in Asia)、日本語韓国語言語学会(University of Hawaii、米国)、アルタイ語形式言語学国際ワークショップ(WAFL:招聘)などにおいて発表した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
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