研究課題
本研究の目的は、従来とりあげられることのなかった日本刊行粤語資料を収集・整理し、そこに見られる粤語の通時的変化を追うとともに、従来の西洋人編纂粤語資料による先行研究の成果をふまえ、その不足を補い、粤語語法の通時的変化のメカニズム解明に役立てることである。二年目である今年度は、資料収集と整理および国内外への研究成果の発表を課題とした。当該年度の主な研究実績は以下の2点である。1.日本刊行粤語資料に関して、天理大学中国語学科研究室編『日本現存粤語研究書目(稿)』、六角恒廣編『中国語関係書書目(増補版)1867-2000』、天理中央図書館での調査、インターネットによる検索などを通じて前年度に作成した約80冊の目録を「Cantonese Teaching Materials in the Early 20^<th> Century in Japan (20世紀初頭の日本刊行広東語教科書)」と題して国際的な雑誌に発表した。2.西洋人編纂資料に関しては、ロンドン大学図書館においてJ.Dyer Ball著『Cantonese Made Easy』の初版本を閲覧し、各版本間の異同について「J.Dyer Ball著『Cantonese Made Easy』各版本の異同--"個"と"的"を中心に--」と題して大学紀要に発表した。以上の研究成果はいずれも当初の研究計画に沿ったものであり、先行研究の成果と合わせて国内外の当該分野の研究の発展に寄与することがおおいに期待できる。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Multi-disciplinary Approaches to Cantonese Studies : Papers from the 13^<th> International Conference on Cantonese and Yue Dialects(『第13回国際粤方言研討会論文集』)
ページ: 261-270
東邦学誌 38/3
ページ: 115-126