本年度は、収集した契丹文資料を異体字を分析した上で全て電子化した。音価復元済みの単語のすべてを国際音声記号(IPA)に転写した。こうした作業によって、形態面での分析や意味面での解読に大きく裨益することが期待される。契丹文字資料の全体的なアルファベット化は従来行われておらず、音韻復元の研究成果を踏まえて実現したものであり、契丹文資料の全面的解読、牧集しえた契丹文資料の全体的翻訳、及び正史その他の漢文史料及び漢文墓誌の記述との比較研究に堅実なベースを作った。 本年度においては研究の基本的な準備段階として以下のような作業を進めた。 (1)新出資料に現れる文字を精査・分析し、コンピューターに入力した。 (2)以上の資料に出現する新字と異体字をともに電子化し、既存のデータベースを拡充した。 (3)入力済みの契丹文字資料に見える単語の音価や意義の確定などを引き続き行った。 (4)契丹文字データベースをさらに充実するため、契丹文字資料の所蔵地における調査・収集を実施した。
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