研究概要 |
2段階の目標を設定した. (1)まず日本手話(以下,JSL)の実証的研究を進めるため,単純な語彙リストではなく,メタデータまで完備した,文レベルのコーパスを作成する事である.特に類辞(CL)を含む構文(移動構文)を中心に作成する. (2)(1)を作成する為に集めたデータを利用した実証的構文研究が第2段階の目標である.日本手話(JSL)では,動詞の主語や目的語にあたる手形(CL)等が動詞に包合されることがあるが,多くは移動構文内の経路動詞にあらわれる.このCL が典型的にあらわれる経路動詞と,様態動詞との組み合わせによる連続動詞移動構文(様態動詞V1+経路動詞V2)内で,選択される動詞の種類,CLの種類やあらわれ方を精査した.またこの移動構文から発展した別の関連構文においても,基本的な移動構文と同様の構造,ルール,傾向が引き継がれるのか,またどのような過程を経て発展しているのかを考察する.またこれらの知見を,音声言語における連続動詞構文等の研究結果と比較し,音声言語も含めた一般言語学に資する理論化を目指した.
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