本年度は、とりたて副詞に分類される形式のうち「マサニ」を中心として分析・考察を行った。 マサニを類似した意味を持つと考えられるマチガイナク・タシカニ・ホントウニと比較した結果、以下の2点の特徴を明らかにした。(1)「AマサニBダ」におけるマサニは、話し手がAにあてはまるものとしてBを評価的に捉えていることを示す。(2)「AハBダ」と判断する際、タシカニ・ホントウニは、先行する文脈等に示される話し手(読み手)以外の判断内容に照らし合わせて判断しているのに対し、マサニではそのような先駆文脈は問題とされていない。 また、マチガイナクには「話し手が当該の内容を評価的に捉えていることを示す」という制限はないこと、タシカニとホントウニとの違いには、後者が「AハBダ」と考える度合いが強いことが挙げられることを、併せて指摘した。 さらに、マサニと総記のガ、とりたて助詞のコソとの関連についても指摘を行った。 以上の成果をもとに、次年度も継続してとりたて副詞の用例の収集とその分析を行い、とりたて副詞の範囲と成立条件について明らかにしていく。
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