研究課題
本研究は、16世紀末~17世紀初頭にイエズス会が作成した語彙集のうち、日本語とポルトガル語・ラテン語との対訳語彙・辞書を中心とする当時の多言語辞書に注目し、イエズス会が作成・印行した実際の日本語・ラテン語テキスト類との語彙の対比によって、語彙集・辞書として選抜された語彙が、どのように画定され、どのような体系的性格を持つかを把握しようとした。この時代の多言語辞書は、未知の言語を自国語へと翻訳する効果だけではなく、「他言語との対訳に基づく自言語語彙の画定」の効果も持っている。本研究では、イエズス会が日本で作成したラテン・ポルトガル・日本語対訳辞書、日本語・ポルトガル語対訳辞書が、いずれも当時最大のポルトガル語語彙を擁するだけでなく、当時の辞書編纂と密接に関連する事を、それらの辞書の全文データベースの整備によって明らかにし、これに関しては、ポルトガルで開催された国際学会での招待発表でも指摘し、査読論文としても公表した処である。又、日本イエズス会出版物(所謂「キリシタン版」)のうち、天正少年使節帰邦後一年で印刷を開始した「前期版キリシタン版」の日本語活字が、従来信じられてきたような日本製ではなく、少年使節がヨーロッパ滞在中に作成させた欧州製である事を初めて明らかにし、査読論文として公表し、又、印刷史に関する国際シンポジウムでの招待講演も行なった。本研究の成果物の一つである(上記の)日本イエズス会版「ラボ日対訳辞書」と当時の他のラテン語・ポルトガル語辞書類の統合全文データベースは、研究期間中にデータベースサービスとして公開を開始し、海外からも多くのアクセスを得ている。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)
Ideias Linguisticas na Peninsula Iberica (sec.XIV a sec.XIX).Assuncao, Carlos, Gongalo Fernandes Marlene Loureiro (eds.)
巻: 単行本 ページ: 865-875
「日本語研究の12章」(上野善道監修)
巻: 単行本 ページ: 325-339
http://joao-roiz.jp/,http://.joao-roiz.jp/LGR/
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