研究概要 |
日本語文法学会第9回大会のパネルセッション「『聞き手の知識』再考:日本語の文末形式の機能をめぐって」においてパネリストとして「終助詞ヨ,ネと発話行為の適切性条件」と題して発表を行った。そこでは,Searleの発話行為の適切性条件にもとづき,終助詞ヨとネの意味論的な意味を求め,次の主張をした。 終助詞ヨは発話行為の事前条件を焦点化する。 終助詞ネは発話行為の誠実性条件を焦点化する。 また,これは発話だけではなく会話にも適用できることを立証した。発話(行為)はその種類によって焦点化される条件の内容が違うが,発話(行為)の種類に対応した,終助詞が焦点化する付随的な意味が明らかになった。このパネルセッションは,企画立案者およびパネリストと有益な議論ができ,参加者と活発な質疑応答や有益な意見交換ができる機会となった。 また,研究報告「発話行為論的観点による終助詞ヨとネの先行研究」では,終助詞ヨとネの先行研究の関心の推移の中で,つねに研究者の関心を引いて止まなかった観点に焦点を当てた。それは終助詞ヨあるいはネを使用する話し手がいかなる行為を行うためにそれを使用しているかという観点である。Searleの発話行為論の観点から先行研究を眺めると,大きな本流の中での個々の研究の解釈では見えてこなかった事,つまり,発話者の行為とこれらの終助詞の関係についての研究成果の流れが浮き彫りになった。 基礎資料の作成については,日本語字幕入りのDVDタイトル約40本から日本語字幕を抽出し,部分的に終助詞「よ」「ね」「よね」の用例資料を作成した。
|