平成21年度の研究計画にそって次の通り研究を実施した。 研究の目的1(発話における終助詞「よ」「ね」「よね」の原理の解明)について:単独の終助詞「よ」「ね」については、昨年度の研究を継承しつつ、標準モデル化した「よ」の音調とその解釈を含めてこれらの終助詞をめぐって、拙稿「発話行為論から見た終助詞ヨとネ」『日本語文法』9巻2号(2009年10月、日本語文法学会)で一定の結論に達した。その主張は、「終助詞ヨは発話行為の事前条件を焦点化し、終助詞ネは発話行為の誠実性条件を焦点化する」であるが、終助詞「よ」の音調とその解釈の分析によって事前条件の焦点化とその解釈の関係をさらに明らかにした。また、終助詞「よね」については、先行研究をコミュニケーション行為の観点からとらえ直し、拙稿「コミュニケーション行為としての終助詞ヨネ:先行研究をめぐって」『大阪樟蔭女子大学日本語研究センター報告』17(2010年3月)で研究の方向性を示した。 研究の目的2(対話や会話への原理適用の可能性の検証):サンプルを用いて、発話における原理が会話に拡大して適用可能かを試行的に検証した。研究の目的3(対話や会話の階層性と動態性の調査):引き続き、基礎資料、資料の分析を実施した。研究の目的2および3に関連して、2010年2月にインドネシア教育大学大学院で開催された第2回国際セミナー・日本語教育と日本文化2010で「日本語の会話の文法:終助詞ヨとネを中心に」と題して基調講演を行った。
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