研究概要 |
平成22年度の研究計画にそって次の通り研究を実施した。 研究の目的1(発話における終助詞「よ」「ね」「よね」の原理の解明)について:昨年度,終助詞「よね」をめぐる先行研究をコミュニケーション行為の観点からとらえ直したが,今年度は「よね」文の分類およびその体系性をコミュニケーション行為の観点から試行的に構築した。残念ながら成果を公刊するまでは至らなかったが,次年度論文にしたためたい。 研究の目的2(対話や会話への原理適用の可能性の検証)および研究の目的3(対話や会話の階層性と動態性の調査)について:引き続き,サンプルを用いて発話における原理が会話に拡大して適用可能かを試行的に検証し,基礎資料の作成,資料の分析を実施した。この方向性は,同時に終助詞「よ」「ね」の原理に関する理論的研究を言語教育に適応可能な形式に変換することと通じると思われる。つまり状況によって終助詞が帯びるさまざまな意味を音声情報や文脈情報などを手がかりにそれを特定することができれば応用言語学として意義深いと思われる。この線にそって文脈情報を手がかりに特定する方法を,研究会での研究発表「日本語の会話における終助詞ヨとネについて」(第9回大阪大学日本語日本文化教育研究会,2010年7月3日)および国際学会での研究発表「終助詞ヨとネの意味を予測する」(Seventh International Conference on Practical Linguistics of Japanese (ICPLJ7), 2011年3月6日)で提案した。また,ICPLJ7のProceedingsに研究ノート「終助詞ヨとネの意味を予測する」Conference Handbook of Seventh International Conferenceon Practical Linguistics of Japanese (ICPLJ7), College of Humanities San Francisco State University. (2011年2月)ではその一端を示した。
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