本研究では、日本海側に分布する諸方言の地理的年齢的動態に着目して、総合的な実態調査を行った。線状の地域で年齢別にことばを調べて図化する「グロットグラム」(地理×年齢図)の手法は、日本方言学が独自に開発した、世界に誇るべき新技法である。これまで日本列島の太平洋側を縦断し、日本海側の青森県から富山県までの実地調査を終えた。本研究では、北陸に集中し、3年間に終えることができた 第3年度の平成22年度には、滋賀県で、グロットグラムのための実地調査を実行した。これまでに行った北陸地方の調査地点と連続する。これで日本海岸全体をカバーするとともに、方言の広域での地理的年齢的動態を具体的に把握できた。 年度途中に打ち合わせ会を行い、研究分担者・連携研究者が参加した。集まったデータをもとに全体的考察を行い、図化の方針について討議した。年度末には連携研究者半沢により、グロットグラム集が完成し、関係者に配布された。また安価なCD-ROMの形で、より多くの研究者に配布する予定である。 その成果の発表のために国際会議に出張して、口頭発表を行い、Proceedingsで刊行される予定である。また付随した山添調査の報告書を刊行した。
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