研究概要 |
1.格フレーム検索結果と国語辞典との比較 辞書に記載すべき用例を明らかにするため,大規模コーパスで自動抽出される用例と,現行の国語辞典の記載用例との比較分析を行った。 25の動詞を対象に,京大黒橋研究室で開発,公開されている,「格フレーム」(Web上の約16億文の日本語テキストから自動的に構築したもの)の検索結果から,高頻度用例として抽出された用例と,国語辞典(岩波国語辞典,新選国語辞典,明鏡国語辞典)に記載されている用例とを比較した。 比較は次のとおり行った。 a.「格フレーム」の名詞(主にヲ格)が一致する用例が国語辞典にある場合 b.「格フレーム」の名詞は一致せずとも似た用例が国語辞典にある場合 c.「格フレーム」と似た用例がなく,その用例が分類できそうな語義が国語辞典にはない場合 d.国語辞典にある用例が「格フレーム」の用例として抽出できていない場合 調査した範囲内では上記a.に該当するものは予想以上に少なく,多くはb.であった。c.の該当例はほとんどなかったが,d.の該当例はいくつか見つかった。例えば,動詞「使う」の場合,a.は「金/筋肉/気/神経/頭/英語/魔法を使う」の7例。また,d.に該当したものは「人を使う(のは難しい)」や「弁当を使う(=食べる)」であった。 2.岩波国語辞典改版のための用例選定 昨年度に整理した用例提示が貢献すべき用途をふまえ,岩波国語辞典第七版改訂の際の用例選定を行った。
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