研究概要 |
日本全国規模の方言調査資料には,明治期の国語調査委員会が行った『音韻調査報告書』『音韻分布図』(1905(明治38)年刊行),『口語法調査報告書』『口語法分布図』(1906(明治39)年刊行)と,国立国語研究所が行った『日本言語地図』(全6集,1966(昭和41)-1974(昭和49)年刊行),『方言文法全国地図』(全6集,1989(平成1)-2006(平成18)年刊行)がある.これらを用いて,全国レベルでの方言分布の通時分析と総合的解釈を行う.歴代,全国規模の方言調査を実施し,音韻・語彙・文法の各分野にわたって全国版言語地図を刊行しているという点で,日本は世界に類を見ない.全国方言調査実施の学史的背景や調査結果が社会に与えた影響なども分析要素に取り入れつつ,通時的にも分野的にも多大な方言調査資料を用いて分布・解釈研究を行い,今後実施される全国方言調査・言語地図作成に備え寄与することをめざす. 期間中には以下の作業を実施する. 1,対象資料の記述研究とデータベース化 2,分布分析と解釈研究(『口語法分布図』『方言文法全国地図』対照地図・『音韻分布図』『日本言語地図』対照地図の作成と,比較解釈研究) 3,報告書作成とウェブ公開. 平成21年度の研究実施状況は以下の通りである. 1,未見・未入手資料の探索調査のため,秋田県に2日間,島根県に4日間,合計6日間の出張をおこなった. 2,収集資料のデータベース作成をおこない,データ整理に73日人を投入して電算データ化した. 3,収集・電算化したデータの分析を進めた.その成果の一部を,当該課題用ウェブサイトにて公開した.http://socling.org/kogoho/
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