研究課題
22年度における主な研究内容・成果は次の通りである。時制理論開発担当の和田尚明は、英語の過去形が表す時間値が複数であるという事実の説明や、英語とオランダ語の現在完了形が異なる意味範囲を持つ理由の解明や、will-文の時制解釈メカニズムの分析など、多方面から自身の時制論の妥当性を証明していった。総称文・進行形の研究担当の岩部浩三は、様々なタイプの総称文の読みの可能性について、特に数量化という視点から統一的な説明を試みた。フランス語の時制研究担当の武本雅嗣は、英語とフランス語の間の、並立的・同時的な事態を表す形式の相違について分析を行い、コピュラ動詞と非定形動詞の結合による継続相・進行相の文法化の多様性を指摘した。時制・アスペクトの文献学的研究担当の松谷緑は、英語の時制について、18世紀から現代に至る通時的変化が引き起こす現象に注目する一方で、近代後期の英語小説の語りの技法に動詞形式が果たす役割の解明を行った。英語とフランス語の時制研究担当のNathaniel Edwardsは、時制の歴史的な発展をより深く理解するため、多種文化の時間に対しての認識などの比較を行った。また、時間に関する哲学的論文を参照しながら、仮定法に関する新しい分析方法を提案した。総括担当の太田聡は、これらの研究をまとめるとともに、英語や日本語などの過去形がなぜ丁寧さを表すことができるのかを、和田理論も援用しながら、解明した。なお、本グループの研究成果の発表は、山口大学時間学研究所主催の第16回時間学セミナーにおいて、学生や一般市民にも公開の形で行われた。
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