研究概要 |
1.whetherとif ifは条件や仮定を表す用法があり,必然的にそういった用法との区別が容易な文脈で選択される可能性が高くなる。すなわち,whetherは「質問・疑問」,「知識・確信の有無」,「確認・調査」,「決心・同意の有無」,「熟考・思考」,「議論」,「評価」,「依存」,「意見分割」,「心配・関心」,「躊躇・苦悩」,「白熱・集中」,「意見」,「重要性」など,分類中すべての項目に現れるが,ifは「質問・疑問」,「知識・確信の有無」,「確認・調査」,「重要性」などの項目に現れるのみである。ifの場合,とりわけ,ask,wonder,seeは突出して頻度が高くなっており,ifとこれらの動詞を伴う間接疑問との結びつきの強さがうかがわれる。一方,「決心・同意の有無」,「熟考・思考」,「議論」,「評価」,「依存」,「意見分割」,「心配・関心」,「躊躇・苦悩」,「白熱・集中」,「意見」など,決定や選択を求めるような状況では好まれるのがwhetherである。逆に言えば,ask,wonder,seeなど決定的な態度を示さない表現はifを選択する可能性が高くなる。 2.from/since…ago since…agoの形は,以前から語法書などでも避けるべき形として取り上げられているが,from…agoの形にはほとんど言及がない。この形は,This is(little changed)from two weeks ago.(こういった状況は2週間前から(ほとんど変わっていない)です)やThe industry has doubled from a decade ago.(その業界は10年前から2倍に成長している)などのように,いくつかの用法のfromと…agoが一緒に用いられたもの。 3.to不定詞に現れる進行形to be doingの形は,どのような文法環境にも平均的に現れるのではなく,have(got) to do,be going to do,be supposed to do,seem to doなど,準法助動詞的なものの後に続くことが多い。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,平成20年度から平成24年度までの5年間に,日本人英語学習者が誤りやすい12項目の英語シノニム・語法について,統語的特徴や意味的特徴を種々のコーパスを使って分析し,日本人英語学習者がそれらを使用する場合にどういった点に注意すればよいかをふまえて,それらを記述しようとするものである。最終年度である平成24年度は,全12項目の中から,残りの3項目について研究を進めてゆくとともに,5年間の研究成果の総括を行う予定である。なお,本研究は,申請者のみで行うため,共同研究者の途中離脱などの可能性はなく,順調に研究が推進できることを確信している。
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