研究概要 |
本研究の目的は、英国を代表する言語学者Richard A. Hudsonが新たに開発し、改良を重ねているWG理論(New Word Grammar, NWG)の枠組みを把握し、その認知文法的、あるいは構文文法的影響を探ることである。今年度予定していた研究計画に従い、これをほぼ予定通り遂行し、以下のような実績を上げた。また、研究成果は、論文としても公刊したが、2011年中にはKyoto Working Papers in English and General Linguistics、『ハドスンンの英文法』として開拓社よりそれぞれ、論文集、書籍として刊行する。 1. 今年度の研究成果の一部を、日本英語学会第3回国際Forum(2010年4月24-25日、青山学院大)で口頭発表して公開した。NWGに関心のある英語学者から有意義な質問が多数出て活発な討論を展開した。 2. SICOL 2010 Seoul International Conference on Linguistics 2010 (Korea University, Seoul, 23-25 June 2010)に参加し、研究成果の一部をSyntaxの部門で口頭発表した。発表には多くの聴衆が集まり、内容について日・英語の差にかかわる部分では多くの質問も出て有意義であった。 3. New Word Grammar理論について研究を遂行するため、2010年8月6日から9月13日まで英国・米国へ出張した。LondonではDaiwa Anglo-Japanese Foundation Houseで海外共同研究者のProf. R.A. Hudson, Dr And Rosta, Dr Nik Gisborne, Dr Jasper Holmes, Dr Joseph Hilfertyの各氏とworkshopを行なった。連日行ったworkshopの成果は、2010年11月に日本英語学会で発表した。米国では、Michigan Technological UniversityにおいてNWG理論に関する科研費研究の成果について院生、教員を対象にVisiting Professorとして授業を行った。 4. 英語語法文法学会第18回大会(2010年10月16日、日本大学文理学部)のsymposium「英語の冠詞、限定詞をめぐって一言語事実を如何に説明するか?語法文法研究、言語事実、文法理論、英語教育のinterface」を主宰し、今年度の研究成果の一部を共同研究者とともに公開発表した。聴衆からの反響は大きかった。 5. 日本英語学会第28回大会(2010年11月13日、日本大学文理学部)においてworkshop "An Introductory Teach-in on New Word Grammar"を主宰し、共同研究者とともに、これまでの研究成果の一部を口頭発表した。発表内容について的を射た質問を受け、実りある議論を聴衆と行うことができた。 6. 電子情報通信学会「思考と言語研究会」『文型と意味』(2011年2月4日、東京、機械振興会館)に講師として参加し、研究成果の一部を講演した。
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