研究概要 |
当該年度の研究の主旨はMEにおいて具体例の少ない結果構文(resultative construction)を導き出し、先行研究Visser(1967)の記述に用例を追加し、今後の結果構文の通時的研究の基礎資料とすることである。YCOEとほぼ同じコーパスデザインで統語標識(syntactic annotation)が付与された中英語の通時的コーパスthe Penn-Helsinki Parsed Corpus of Middle English Second Edition(以下PPCME2)を利用して,中英語ではどのような形で小節(small clause)が現れるのか、その小節の中にどの程度、結果構文が存在するのか検証した。そして先行研究の記述に結果構文を追加した。PPCME2内の19の作品から、比喩的表現などを含めて32の結果構文を導き出すことができきた。Visserは結果構文を作る動詞を17例挙げているが、本研究により、新たに12の動詞を追加することができた。 Visserによる17の動詞:beaten, bursten, chewen, choppen, dyen, eaten, floberen, grinden, painten, rubben, searcen, shaven, swepen, shriven, strippen, washen, wipen 新たに追加する12の動詞:bake (ME : baken), swallow (ME : for-sweben),well (boilの意味)(ME : wallen), break (ME : to-breken), pierce (ME : perce), put (ME : puten ; pushの意味),stamp (ME : stampin), cut (ME : cutte(n)), shut (ME : schitten), colour (ME : coloure(n)), hew (ME : heawen),strike (ME : striken) 但し、現代英語ではputはpush(押す)の意味はないので結果構文を構成しない。さらにwell,to-brekenの用法は現代英語では廃語になっている。 問題点:PPCME2ではHe broke it into piecesのような結果構文を検索することができない。(結果述語に相当するinto piecesを表記する統語標識がIP-SMC内に設定されていないため)
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